損害保険鑑定人試験に必ず出てくる科目「簿記」。3級では「保険・一般常識」に組み込まれていますが、2級・1級では1つの科目として立ちはだかります。
しかし、商業高校出身者や経理経験者でもない限り、簿記とは接点がない人は多いと思います。そんなボンヤリしたイメージのまま勉強するのも効率が良くないと思いますので、このページでは「簿記とはザックリどういうものか」を解説します。
そもそも簿記とは?
「簿記」は、会社におけるお金の出入りを記録する方法です。
お金の出入りを記録するだけなら出納帳で良いのでは?と思う方も多いでしょう。
確かに、単純な入出金のみの管理であれば、お小遣い帳ベースのもので十分事足ります。個人や部署単位の経費管理もこれでまかなえるところがほとんど。現金の流れの管理だけを考えれば、それだけで十分です。
それに対して、「簿記」は今手元にある現金以外の流れも把握するためにあります。
例えば、「末締め・翌月末払い」等の「いずれ出金するお金」についての管理はどうするのか。これは出納帳だけではできません。そこで、○月○日に物品を購入し、購入したものに対して未払いのお金がいくらあるのか(=買掛金)までをしっかり管理することで、会社のお金の動向を把握することができます。
こうすることで、会計年度末時点ではお金がどれくらい残っており、未払いや未収金がどうかを確認することができます。そこから、資産・負債・純資産を明らかにしていく=決算書を作成していくことになります。
これが、「簿記」です。経営を考える上で、なくてはならないものです。
試験における簿記の重要性
普段、鑑定業務に従事されている方の中には「なぜこの知識が要求されるのだ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、侮れないことに「損害保険登録鑑定人3級」の「保険・一般常識」では、簿記の配点が毎回12点と非常に高いです。
簿記は毎回出題されること、3級の合格点が60点であること、他の選択問題や正誤問題の配点が各1点であることを考えると、この12点という得点は如何に重要で落とすことのできない分野か、おわかりいただけるかと思います。
ちなみに、「保険・一般常識」で毎年出題されている問題は他にもあります。
火災保険や地震保険の支払いに関する計算問題やがそれなのですが、配点は2題各9点=計18点。簿記の12点と合わせると、毎年出題されている問題をしっかり対策すれば、合格点の半分の30点取れてしまうことになります。

毎年出題されている問題の対策をするだけで、合格点がグッと近くなる。これは外せません。
3級試験における簿記の内容
3級で要求される知識レベルは、簿記の最もベースとなる知識に限定されます。
おおよそではありますが、以下を目安とすると良いと思います。
・貸方/借方の仕分け
・売掛金/買掛金の増減
・現金と物品の扱い
簿記を少し勉強すれば、「あれ?これって基本じゃないの…?」という程、最初に学ぶものです。今まで勉強したことがないという人も、焦らず集中すれば、数日で理解できる程の内容が軸になります。
簿記の勉強方法
では、どのように勉強するのか。
おすすめは、「スッキリわかる日商簿記3級」です。私はこの本を使って勉強しました。
見開きで1つのコンテンツが完結していることに加え、デフォルメされたネコが1コマ劇場的に取引の流れを解説してくれるので、「わかりやすさ」と「空いた時間に少しずつ読める」優れた参考書だと思います。
半分くらいまで読めば、3級の問題文への理解力は格段に高くなります。
3級で要求されるのは本当に基本レベル
簿記自体は、単語の暗記などを要求されるものではありません。主に「貸方・借方」の考え方をしっかりと覚えることが重要となっているため、教科書を読んで、過去問を解いている内に自分の中で血肉として身に付くものです。
経営に関わっていなければ「損益計算書とはなんぞや?」となりがちですが、一度理解してしまえば攻略はだいぶ楽になります。仮に忘れたとしても、数回過去問を解いたら思い出せるのではないでしょうか?
「簿記は考え方を理解するもの」であるので、個人的には先にある程度簿記の理解を深めてから、保険の分野を勉強し、過去問を解きながら復習していくのがいいのではないかと思います。
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