火災保険の支払いと同じく、保険・一般常識の試験科目で毎度出題されている「地震保険の支払額」。地震保険の支払額は、損害割合に基づいて段階的に評価されます。「段階的に」というのがミソです。
ただ、計算問題はあくまでも「数字を公式に当てはめる作業」です。解法や正解には特別な解釈や吟味は存在せず、機械的に計算するだけで良いのです。
このページでは、その解説を行います。
損害区分を求める
地震保険の支払いに関する問題は「地震保険の支払額」を問うものですが、実はもう一つ計算しなければならないものがあります。それは損害割合の計算です。
損害割合に応じて、一部損や全損などの損害区分が決定します。これにより被害額の何%支払われるかが段階的に決定されることになります。
設問には登場しませんが、本題で最も重要な部分になります。
損害割合と支払割合
被害額÷火災保険の保険価額×100 …①
①の単位は%になります。建物全体のうち、どれだけ壊れているかを「損害割合」という形で計算したものです。
同じ1000万円の被害だとしても、建物の価値が2000万円と1億円とでは、建物全体にかかる被害のインパクトは変わってきます。当然、2000万円の建物に1000万円の被害があった方が、建物としては酷く壊れたことになります。
これを確認するのが①になります。
2000万円の建物に対して1000万円の損害であれば、損害割合は1000万円÷2000万円=50%。同様に1億円の建物に対して1000万円であれば、損害割合は10%。
同じ被害額でも、建物に対してどれだけ大きな被害だったかを確認するのに被害割合を求めるのは、とても有効です。
払われる割合
地震保険は①に応じて、支払われる割合が変わってきます。これは、建物と家財とで異なっており、必ず覚える必要があります。
各損害区分と支払いの割合をまとめます。
損害割合(%) | 損害区分 | 支払割合(%) |
50%以上 | 全損 | 保険価額の100% |
40%以上~50%未満 | 大半損 | 保険価額の60% |
20%以上~40%未満 | 小半損 | 保険価額の30% |
3%以上~20%未満 | 一部損 | 保険価額の5% |
損害割合(%) | 損害区分 | 支払割合(%) |
80%以上 | 全損 | 保険価額の100% |
60%以上~80%未満 | 大半損 | 保険価額の60% |
30%以上~60%未満 | 小半損 | 保険価額の30% |
10%以上~30%未満 | 一部損 | 保険価額の5% |
規則性が見えないので、正直覚えるのしんどいと思います…が、この問題はこれまで毎回出題されていますので、必ず覚えましょう。ここまでやって、ようやく設問を解くことができます。
保険で支払われる金額
ここまでの「損害割合」と「支払いの割合」が求まったら、いよいよ設問に登場する「地震保険により支払われる保険金」と「主契約から支払われる保険金」のそれぞれを解いていきます。
これまでの問題を見ていると、前述の損害割合が最初から計算されていることが稀にありますが、それ以外は「地震保険により支払われる金額」で建物と家財とで各1問、「主契約から支払われる保険金」で1問、計3問が出題されているのは共通しています。
計算式は難しくないので、身構えずに覚えてしまいましょう。
地震保険支払われる保険金
地震保険の保険金額×(支払いの割合)
この公式は、建物・家財両方とも同じです。重要なのは、損害割合に応じて何%支払われるかをしっかり覚えているかになります。
過去問をみると、建物で1問、家財で1問で問われていることがほとんど。①次第で得点が大きく変わってくる可能性があるので、注意です。
主契約から支払われる地震火災費用保険金
火災保険の保険金額×5%
設問によっては、「建物及び生活用動産の損害に対して…」と問われていることがありますので、その場合には、建物と家財と、それぞれの保険金額に5%をかけ、最後に足し合わせればOKです。
火災よりも解答しやすい?
地震保険の計算問題は、最初の損害割合と支払の割合さえ覚えてしまえば、あとは非常にシンプルな計算のみで良いです。
その点、支払われる保険金の種類によって限度額が異なる「火災保険」の計算問題よりも楽に回答できるかと思います。
過去問を解いていると、損害割合が問題文に既に掲載されているものもありました。そうすると一手間省けるので楽ではあります。
ただ、注意しなければならないのは「損害割合と支払われる割合はイコールではない」ということ。損害割合が20%ならば、支払われる保険金は損害額の30%になりますので、しっかり損害区分については覚えましょう。
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