「損害保険鑑定人」と聞かれても、いまいちピンとこない人は多いと思います。
損害保険鑑定人は、主に建物などにかかっている保険に関連して、災害などの被害調査を行う仕事です。そのため、自分で物件を所有していたり、所有していても災害に遭遇したことがなければ、一般的には接する機会のない仕事です。
このページでは、そんな「損害保険鑑定人」について少しでも理解を深めることを目的とします。
求人票などで「損害保険鑑定人ってどんな仕事?」と気になった方は、最後までご一読いただければ幸いです。
損害保険鑑定人の仕事内容
損害保険鑑定人は、主に保険会社から依頼を受け、対象となる建物を訪問して被害調査を行う仕事になります。
建物と言っても様々あります。
鑑定会社ごとに得意としている種類もあるかもしれませんが、一戸建てからアパート・マンション、倉庫や工場等、多種多様です。
調査とは、建物がどういう被害にあったのかを調べるものです。
例えば、台風で雨漏りした、地震で壁が割れた、火災で家が燃えた等、どんな災害でどんな被害が出たのかを具体化します。
最後に、その被害がどれだけのものだったのかをデータにまとめて、保険会社に報告します。
この「訪問して」「調査して」「報告する」というプロセスを、建物単位でこなしていきます。なので、1つのプロジェクトの期間としては比較的短く完結されます。
損害保険鑑定人に求められる知識
「住宅保険に関する知識」「保険会社の商品知識」「建物に関する知識」が求められます。
住宅保険(火災保険や地震保険など)は、法律によって大枠が決まっています。住宅総合保険と店舗総合保険は何が違うのか、火災時の保険金の支払いはどうなるのか等、法律で決まっている部分は大きいです。
この「保険の法律に関する部分」が業務上必要な知識になります。
そして、保険会社はこれに独自の基準を設けたり、オプション(特約)などで差をつけたりしています。各社に応じた保険商品の違いなどを理解し、何を基準に鑑定を行うかを把握した上で現地調査に臨むのです。
現地調査では、建物の被害状況を確認します。
通常の建物保険では経年劣化は保険金の対象外となりますので、区別しなければなりません。その上で、例えば「外壁の素材は何で、どれくらい壊れているから被害額はこれくらいだ」という鑑定をしていきます。
難しそうな知識ばかりに見えますが、求人に際してはこれらを不問としていることが多いように感じています(理由は後述)。
損害保険鑑定人に未経験募集が多い理由
損害保険鑑定人に求められる知識を見ると、大体が専門的な知識だとわかります。
しかし、求人票を確認すると、その多くが「未経験」の募集となっています。
…もしかして、ブラックな業界?
そう思われるのも、無理はないかもしれません。しかし、未経験でも募集せざるを得ない理由もあるのです。
損害保険鑑定人の試験には、電気技術者や建築士等の知識と同じようなものが出題されますが、こうした資格保持者の多くは「損害保険鑑定人」をやっていません。それは、それぞれの資格が国家資格であり、それによって生計が成り立っているためです。
国家資格を持っていると、それだけで転職時に強いカードを持っていることになります。独立すらできる仕事に対して、認知度の少ない職種にわざわざ応募をする人は多くないでしょう。そうなると、担い手を得るために、どうしても建築業未経験の方でも募集しなくてはならないのです。
これが、未経験者募集の背景です。
募集する側も最初から「働きながら覚えてもらうこと」をある程度覚悟している、というのが働いている私の感触です。
損害保険鑑定人の情報が少なすぎる
「損害保険鑑定人」と検索すると、割とネガティブな意見を見ることが多いです。しかし、その情報のほとんどが「どんな仕事なのか」まで詳しく言及していません。
「良いか・悪いか」は、読み手が判断するものです。
書き手の主観で「キツイ仕事です」「オススメできません」と書かれたものしか判断基準がないというのも、健全ではありません。もう少し深く、具体性がないと判断材料として信頼性がありません。
それほどまでに、とにかく情報が少ないのです。ちなみに、私がインターネット上で目にした内容のほとんどが「損害保険鑑定人ではない人が書いた文章」でした。
私が求人の応募を考えてこのページを見てくださっている方へお伝えしたいことは、「どんな仕事でもキツイことはあるし、辛いこともある」という、とても当たり前のこと。
私は気持ちが態度や表情に出やすいので、営業職は向いていません。
身体が弱いので、現場仕事もできません。
ITは好きで以前勤めていましたが、ブラックすぎて無理でした。
このように判断基準は常に自分であり、勤めるのもまた自分なのです。
知らない業界へ踏み出すには勇気が必要ですが、私はそれ以上に「情報が必要」だと考えています。
行ったことがない場所でも地図があれば到達できる。
でも、そもそもその土地に行く理由があるのか判断できれば、行かないことを選択できたり、あるいは他では見れないものを見に行くこともできます。
「損害保険鑑定人」に限らず、それはどんな仕事にも当てはまることですね。その会社の業務内容に興味があったり、質問があるのであれば、とりあえず聞いてみるのが良いと思います。インターネット上の情報だけで一歩を踏み出さないのは、もったいないことです。これもどんな仕事にも言えることですね。
このページが皆様にとって、何かの判断材料の一つにでもなれれば幸いです。
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